「やはりな、来ると思っていたぞ」
「フン……馬鹿は高い所を好むというのは本当だな」
時計塔の最上階は柱と屋根はあるが壁は無く、ハイデルベルグの街並みを一望出来る。
だが今見るべきなのは、中央を陣取る神の眼とグレバム。
《ディムロス……!? それに他の三人も……!》
《イクティノス! 無事か!?》
《コイツの手の中に無ければ、万全と言えるだろうな……!》
不適な笑みを浮かべるグレバムの手の中には、確かにソーディアンの姿はあった。
イクティノス、五本目のソーディアンにしてファンダリアの宝剣。
「これはこれはウッドロウ殿下、お久しゅう御座います」
「……嘘に塗れた挨拶なぞ無用だ、グレバム・バーンハルト。イクティノスと神の眼を渡せ」
「それは無理な相談だというモノですな」
答えは分かっていた。
だからイクティノスも叫ぶ。
《俺の事はいい! グレバムを止めろ!》
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bkm
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