面白い物を見つけたかの様な眼で見てくるルーティを睨み返し、リオンは夫婦に半ば怒鳴る様にして告げた。
「マリーは負傷して現地に置いてきた! それでいいだろう!」
「……あ、ありがとう、リオン」
マリーの感謝の言葉に少年は複雑な感情を表情に出し、ルーティに加えチェルシーも見守る。
少年の名を聞いたダリスは全てを察したのか、ゆっくり息を吐いた。
「リオン・マグナス……セインガルドは、グレバムを追っているのか?」
「ああ、奴は神官のクセに遺物を盗んだ大罪人だからな」
「なるほど……やはり“そういう奴”か……」
マリーの手を借り立ち上がった彼は、真剣な面持ちでリオンに“奴”について伝える。
「奴は、巨大なレンズと共に時計塔に居る……。暫く降りてきていないが、一体何をしているのか……」
「やはり時計塔か……飛行竜が何処にあるか知らないか?」
「飛行竜……今は恐らく、城の裏手かもしれん。見知らぬ男が何人か裏手へ出入りしているのを見ている」
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bkm
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