力で押し返し、ウッドロウは床を蹴る足に力を込めた。
「民と同じ立場とあれる王となろう――!」
彼の姿はいつの間にかダリスの背後にあった。
立ち尽くすダリスの足元に血が滴り落ちている。
「民と、同じ立場……?」
剣が手から滑り落ち、高い音を響かせる。
「それは、最早王ではないだろう……」
両膝を付く彼にマリーが駆け寄った。
肩と脇腹からの出血量を見ると傷は少々深めの様だが、致命傷ではないらしく意識はハッキリしている。
「私の……負けだな……」
敗北を認める彼の表情は真剣で、敵意の無い眼でウッドロウを見上げた。
「負けた、私が言うべき事ではないのは分かっている……だが聞いてほしい事が、ある……」
「……言ってみてくれ」
剣を鞘に収め承諾すると、ダリスは額を床に付け懇願する。
「頼む、他の者達の極刑だけは、免じてやってくれ……!」
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bkm
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