互いの考えと想いをぶつけ、剣を交える。
上段からのダリスの振りかぶりを受け流し、ウッドロウが懐に飛び込む。だが義勇軍を纏め上げる男は怯まず、少々無理な体勢からバックステップで距離を取る。
双方、技量は互角と見るべきか。
「守る為の犠牲の重さを父は背負い続けていたのだろう。しかし私は……その覚悟を背負う覚悟が今まで無かった」
乱れた息を整え、ウッドロウは語る。
「正直父が死んだ今も、覚悟を決められない私が居る。民の想いを、恨みを、願いを、私に背負い切れるかどうか不安だ」
肩の力を抜き、無駄な緊張を身体から取り除き、静かに目の前の音を見据えた。
風が一瞬、彼の傍を駆け抜けた気がした。
「……だからこそ、私は負けるわけにはいかない」
再び二人は刃を交える。
覚悟が、意地が、希望が、刃に乗せられる。
「覚悟も無しに王となるかウッドロウ……!」
「ああ、だから――」
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bkm
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