国の未来を背負う二人の男の間に、彼女は飛び出した。
「ダリス! 私だ! 話を聞いてくれ!」
「……知らんな」
「え……?」
剣を構え、ダリスは言い放つ。
「私は忠告した筈だ、この国から立ち去れと……。だが此処に来たという事は、相応の覚悟を決めたと判断させてもらうぞ」
「ダリス……、どうして……! グレバムはこの国を滅茶苦茶にしようとしているだけだ! お前も分かっている筈だ!」
悲痛な叫びは大広間に響き、そして沈黙を呼ぶ。
先に口を開いたのは、ダリスだった。
「分かっている……」
「な、ら……どうして……!」
「……ウッドロウに背負うモノがある様に」
彼は切っ先をウッドロウに向け告げた。
「私にも背負うモノがある……! 私はそれを守る為ならば、何度でも剣を抜く!」
「……そうか」
静かにウッドロウは頷き、彼も己の剣の切っ先をダリスに向ける。
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bkm
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