「……肩透かしもいい所だな」
意気込んで進んだのはいいものの、大広間へと向かう今の時点まで人の姿は全く無かった。モンスターの姿も無く、当然戦闘は行われていない。
本当に此処にグレバムが居るのか、徐々に不安が募る。
「もしかして、もうグレバムにやられちゃった……とか……?」
ルーティの可能性もゼロではない。
しかし反乱軍にはまだ利用価値がある筈。何かあったにしても、やはりこの静けさは異常だった。
「この廊下の突き当たりが大広間なのだが……」
結局誰にも会わなかった。だからといってこれから先もそうだとは限らない。
その思惑を証明するかの様に。彼はそこに居た。
「やはり来たか、ウッドロウ・ケルヴィン」
「ダリス・ヴィンセント……」
通常の剣よりも刃の大きい剣を携え、ダリス・ヴィンセントはたった一人で大広間の中心に居た。
「グレバムの下には行かせんぞ」
「…………」
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bkm
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