「いくら普段から人通りが無いにしても、城に戦力を集中させたなら至る所に配置してる筈なんだよね。だけどそれをしない……もしかしてグレバムが居る場所の周りに集めてる――なんて、とんだ馬鹿戦略と言いたいけれど、神の眼があるからな……」


 常識は通じない、此処から先何があっても不思議ではない。

 彼等はそれを思い知り、だからこそ今その判断を降せる。


「一に用心、二に用心、二つ飛んで五に特攻って所かな。反乱軍ごと私達を潰しに来る可能性もあるしね」

「捨て駒って事ね……それなら自分の周りに集めてる理由も納得出来るわ」


 腹立つけどね、とルーティは溜息を吐き、ウッドロウの表情は険しくなった。

 出来るだけ被害は少なくするべきだと彼は言った。彼等も意思を持った民なのだから、と。


「……行くぞ」


 もう隠れる必要は無い。

 彼等は走り出し、時計塔を目指す。


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bkm

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