あれから彼女との会話は少ない。会話はあっても、双方何処かぎこちなかった。
「情けないな……」
どう受け止めたらいいのか分からない。
「――とにかく今は、グレバムをどうにかする事だけを考えるべきだな……」
グレバムをどうにかしなければ、彼女との時間が無くなる可能性だってある。そうならない為に、目の前の事案に全力を注ぐ。
その為の道が、目の前に現れた。
「この梯子を上がれば城に出る」
「やっとか……」
ウッドロウが手を掛ける梯子を見上げ、リオンは呟く。
他の者も同じ意見なのか、安堵の表情を見せている。
「上がった先に反乱軍が居るという可能性は無いのか?」
「可能性は低い、としか言えないな。倉庫、それも城の奥にある殆ど手付かずの所だからな」
「じゃあ大丈夫か……」
大丈夫だという事を信じるしかない。
城を熟知しているウッドロウが一番手に名乗りを挙げ、梯子を上り始めた。
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bkm
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