「セシル……僕は今、僕自身を非常に情けないと思ってる」
「それは何故?」
「……僕が子供だからだ」
それは如何様にも変えられない事。彼自身それは分かっているだろう、だが焦っている。
焦りは良い結果を生まない、セシルはそれを知っている。だから彼の手を取った。
「セシル……?」
「いいじゃないか子供だって、誰だって何れ大人になるんだから」
「だけど……!」
「エミリオ」
その名を口にする彼女の表情は何時もよりも固い。
リオンは反射的に口を閉ざした。
「――すまない、本当に調子が悪いみたいだね、私は」
「なら……戻って休んだ方が――」
そう提案するが彼女は首を横に振る。そして一つ溜息をつき空を見上げた。
「私は空が好きだ……空には境界線が無いからね……」
「……そうだな」
今の彼女は弱い、リオンはそう感じた。
「……あの空へ行けたらと、何時も思う」
何て私は卑怯なんだろう。
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bkm
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