10

「リオン……私、怖いんだよ……」

「怖い……?」


 突然の告白にリオンは適切な言葉が思い浮かばず、彼女の言葉を待つだけになってしまう。

 情けないと思いながら、言葉を聞いた。


「自分が分からなくてね……何もかも嫌になってくるんだ……」

「セシル……」


 呼吸は微かに速く、声色から追い詰められているのが分かる。

 一体何が、そこまで彼女を蝕んでいるのだろうか。


「誰を信じたらいいんだろうって、くだらない事ばかり考えて、苦しくて、怖くて……」


 何とか縛り出された声で、溢れた自分を訴える。


「こんなの初めてで……どうしたらいいか、分かんなくて……!」


 何が出来る、そう何度も自分に問い掛ける。


「セシル……何が、あったんだ?」


 答えは返って来ない。

 信じてもらえていないからか。


「……僕はずっと、お前の味方だから」


 だから、何時か。


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bkm

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