ウッドロウの案内で皆は、民家が並ぶ区域の奥へと進む。
その途中、チェルシーが不意にウッドロウの手を握った。
「怖いのかい?」
「……ちょっとだけ。でもウッドロウ様をお守りするって誓いましたから、大丈夫です」
胸を反り気合いを入れる少女に微笑を浮かべ、彼は至って普通の民家のドアを開ける。
中も変わった様子は無いが、ウッドロウは皆の前でリビングに敷いてあった絨毯を捲り上げた。
「隠し通路か……」
晒された床には扉があり、それもウッドロウが開けた。その瞬間、地下への階段からの冷気が部屋の温度を下げた。
「いいのか? 国家機密モノだろう?」
「王が倒れた今、機密も何も無いだろうからね。全てが終わったらどうするか考えるさ」
最優先するべき事柄をよく理解し、その為の判断を彼はよく出来ている。王の器たる男、本人の考えがどうであれリオンはそう思った。
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bkm
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