クレメンテの呟きに、フィリアは詳しい話を求める。


《ディムロスとスタン、似ている所があるのじゃよ》

「そうなんですか……」


 重い空気ではあるが、一人の青年によりまだ纏まりのある一行が進む先に雪の中の城は現れた。

 ファンダリア首都ハイデルベルグ。


「……何て言うか、さ……」


 門番も居ない街に入り、ルーティは口元を引きつりつつ呟いた。


「言う言葉も見つからないわ……」

「じゃあ言うな」


 リオンが切り捨て、周りに誰も居ない事を確認する。

 気味悪い程に、見た限りでは本当に誰も居ない。


「見張りの一人も居ないだと……?」

「気配も無いね……城の中かな」


 戦力が城に集中されているとしたら、グレバムは間違い無く城に居るだろう。自分の身の周りだけを固める為に。


「ウッドロウ、正面から城に入るのは無理そうだが」

「ああ……城に通じる隠し通路がある。街の住人や逃れた兵達は皆、そこに居る筈だ」


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bkm

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