ハイデルベルグまでの道は険しかった、精神的に。

 ウッドロウとマリー、本来ならば敵対している筈の二人が同じパーティに居るのだから仕方ないのだが。


「セシル、さん?」

「何、フィリア」

「その……顔色が優れないようですが……」


 フィリアの指摘にセシルは自分の口元を手で隠し、珍しく疲れを表に出した。


「大丈夫ですか……?」

「うん……ちょっと、疲れてる、かな」


 身体的披露の原因は分かっている。そして同時にそれ以外の原因がある事も分かっているが、その原因の正体が分からない。

 焦りが募る。


「私より彼等……っていうか、スタンはよく平気だねェ……」


 ウッドロウとリオン、マリーとルーティ。二組の間に立つスタンは、何時も通りの明るさを見せていた。

 今なら断言出来る、羨ましいと。


《ディムロスのマスターになったのも頷けるのう》

「どういう事ですか?」


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bkm

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