「ダリスが本心でグレバムの味方をするわけがない! だから……!」
「だから何だ……あの男は今、グレバムと共に居る、それが事実だ」
飽くまでも少年は、冷静に現実を突き付ける。
実の姉から敵意を向けられようと、信念を突き通す。
「ハイデルベルグに向かう。マリー、お前は絶対に僕達から離れるな……彼方側に、此方の事を流されたら困るからな」
「なっ……アンタ――」
「ルーティ」
食って掛かるルーティを抑え、マリーはゆっくり頷いた。
「リオンの言う事は最もだ……だから私は、皆と一緒にハイデルベルグに行き、ダリスに会う」
「マリー……大丈夫なの……?」
「大丈夫だ。ダリスに会わなければ……私が、全てを思い出した意味が無い」
進む為だと、彼女は言う。
重苦しい雰囲気のまま一行は時折声を掛けて来る町人を適当にかわし早々と門の外へ向かった。
「あ、マリー……」
門番の彼はマリーの変化に気付いたのか、口を噤んだ。
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bkm
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