ダリスがマリーを突き落としたのは恐らく、彼女が軍に捕まらない様にする為だろう。雪もあり、死ぬ高さではない、雪に慣れている彼女ならば大丈夫だと、そう判断した上で。
だがそれが真実ならば、事態は難しい方向に進む。
「マリーはやっぱり、義勇軍のメンバーだったの……?」
「ああ……行き場を無くした私に、ダリスが手を差し伸べてくれて、それで……!」
言うなれば、ウッドロウを味方に付けている此方にとって義勇軍は敵。そしてマリーはその義勇軍を纏め上げ、今はグレバム側に付いているダリスの妻。
判断が難しい状況だ。
「リオン……」
「……目的は変わらない、僕達はハイデルベルグに向かい、グレバムと神の眼を目指す。その際ダリス・ヴィンセントがどの様な行動に出るか……それが要だな」
「ま、待ってくれ!」
立ち上がったマリーは、必死の表情でリオンに意見する。
prev next
bkm
[back]