15

「あ……」

「どうし――」


 マリーが手に取った物を見て、セシルが眼を見開いた。

 皆が異様な雰囲気に気付き集まって来た直後、マリーは膝を着く。


「マリー! どうしたの!?」

「わ、私……」

「マリー……?」


 ルーティは彼女が持つ物に視線を落とし、息を飲む。

 握られている写真立に収められているのは、マリーともう一人――ダリスが睦まじい様子で写っている写真。


「マリー……コレって……」

「…………」


 涙を溢し、叫びそうになる自分の口を押さえ、


「ダリス・ヴィンセントは……」


 彼女は告げた。


「私の、夫だ……!」


 だから同じ食器が二つずつあって、家の中に生活感があるのか。

 だから彼は、記憶を無くして彼女に国を出るように告げたのか。


「そうだ……あの時……国軍が迫って来て、ダリスが私を崖から突き落として……」

「それって……第二の動乱の時……!?」


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bkm

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