「あ……」
「どうし――」
マリーが手に取った物を見て、セシルが眼を見開いた。
皆が異様な雰囲気に気付き集まって来た直後、マリーは膝を着く。
「マリー! どうしたの!?」
「わ、私……」
「マリー……?」
ルーティは彼女が持つ物に視線を落とし、息を飲む。
握られている写真立に収められているのは、マリーともう一人――ダリスが睦まじい様子で写っている写真。
「マリー……コレって……」
「…………」
涙を溢し、叫びそうになる自分の口を押さえ、
「ダリス・ヴィンセントは……」
彼女は告げた。
「私の、夫だ……!」
だから同じ食器が二つずつあって、家の中に生活感があるのか。
だから彼は、記憶を無くして彼女に国を出るように告げたのか。
「そうだ……あの時……国軍が迫って来て、ダリスが私を崖から突き落として……」
「それって……第二の動乱の時……!?」
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bkm
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