14

 それはセインガルドに仕えている者として当然の判断。他国で動く以上、優位に立つ為の交渉カードを出し惜しみするわけにはいかない。

 ただ本来ならば、16歳の少年にさせる決断ではないだろう。


「マリー、大丈夫?」

「ああ……」


 やはり町人の視線はマリーに集まり、時折喜びながら話し掛けてくる人も居た。彼女はそれほどに、この町では有名人だったのだろうか。

 まるで何かに引かれる様に歩くマリーと共に暫く行くと、目的地であろう家の前に着いた。


「此処がマリーの家……」

「……」


 玄関は開いており、彼女はゆっくりと中へと進む。

 主が居なかった筈の家は誰かが掃除していたのか綺麗なのだが、何故か今も生活感があった。


「ルーティさん、コレは……」

「コレって……」


 戸棚には同じ食器が二つずつ。一つはマリーの物だとして、もう一つは今も此処に住んでいる人の者だろうか。

 だとしたら、彼女は誰かと一緒に住んでいたという考えを肯定出来る。


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bkm

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