自虐的な言葉を口にしていると、リオンがそれを否定した。
「そんな事は無い、似合うに決まっている」
断言の言葉に不思議そうな顔をしていると、彼は再び赤くなりながら伝える。
「その、セシルは……その……」
《坊っちゃん、頑張ってっ》
シャルティエに励まされ彼は意を決したのか顔を上げた。その顔は赤いままだが、真剣である事は充分伝わる。
「――綺麗、だから……だから、似合う」
「エミリオ……あ、ありがとう」
こんな時どんな反応をすれば良いのか彼女には分からなかった。ただ笑う事しか出来ない自分を悔しく思う。
そして哀しく思う。
「綺麗と言ったら、君の方が綺麗なんだけれどね」
「な……何を馬鹿な……!」
リオンが真っ赤になりながら否定するとシャルティエが溜息をついた。
しかしマスターは気付かず俯いている。その表情は、悔しそうだ。
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bkm
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