「もう少し要領を得る説明をしてくれないか」
「ですから! あー……来れば分かりますって!」
戻って来た門番と共に現れたのは、黒髪の男。彼は一行を認め、そしてマリーを見て一瞬眼を見開いた。
「ね!? マリーが生きてたんですって、ダリス隊長!」
ダリス隊長という事は、この男が義勇軍を纏めるダリス・ヴィンセントその人なのだろう。
沈黙を守る彼に、マリーがたどたどしく声を掛けた。
「お前、は……?」
「――!」
ダリスは彼女から視線を逸らし、一つ溜息を吐く。
「人違いだろう、この忙しい時に騒ぐな」
「え? だって――」
「私はハイデルベルグに戻る。
……君達も早くこの国から離れた方が良い」
そう忠告しダリスは町へ戻って行った。
門番は何度も首を傾げ、思い付く理由を挙げる。
「まあ色々あったし、いきなりだったからビックリしたのかな……」
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