「うー……さむっ」
「こんなのまだまだ序の口ですよ。もう少し季節が進んだら、毎日吹雪ですよ」
「そうなの? うー……俺ファンダリアに住めそうにないなァ。ディムロスもそう思うだろ?」
《ん? ああ……そうだな》
何処と無く歯切れの悪い返答だが、スタンはあまり気にせずチェルシーの雪国話に耳を傾けた。
「ウッドロウ、サイリルまではまだあるのか?」
「いや、そろそろ着くと思うが……この分だとハイデルベルグに着く頃には陽が落ちているだろうな」
「だがサイリルで暖を取る余裕も無いからな、ある程度調べが済んだらすぐに発たなければ」
地図と懐中電灯を確認し、リオンとウッドロウは先の事を相談する。他の皆はサイリルが近付いてきたという事で、一層警戒心を高めた。
「――アレか?」
「ああ……当然ながら見張りが居るな……」
木陰に身を隠す一行の視線の先には、塀に囲まれ門が閉ざされたサイリルの町。
開かれた門には数人の見張りが居るが、町の外に人の気配は無い。
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