同じ疑問を持っている事を告げると、セシルは自分の考えを話し始めた。


「もしかしたら、義勇軍の武力派が何時か国民に刃を向けるのではないかと思ったんじゃないか……と」

「つまりダリスには武力派を抑える事が出来ないと危惧した、という可能性か。確かに、穏健派と武力派では内部衝突するのは眼に見えている。それに王家を支持している民に敵意が向けられる時が来ても、驚く事ではない。
 火種は小さいうちに……動機は何にせよ賢王の判断は賢明とも言えるし、急ぎ過ぎとも言えるな」

「民を守る為に民を討つか、……人間は愚かで哀しいな」


 何気ない彼女のその言葉が、少年の心を揺らす。それは恐らく、言葉を紡いだ表情が何かを訴えている様に見えたからだろう。


「やっぱり国を背負うとなったら、ちょっとやそっとの覚悟じゃ駄目なんだろうね」

「そうだ、な……だから、賢王と謳われたのだろうな」


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bkm

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