一本多いが、二人きりという時間にリオンは心なしか緊張していた。
今までそんな事は無かったが、この旅の途中は他の面々がいた為に久しぶりという感覚が生まれているのかもしれない。
「リオン、もし、ね」
「ん……?」
「グレバムみたいに、大きな力を手に入れたらどうする?」
「力、か……」
彼女の問いに暫く考え込んだ後リオンは、天井を見上げ静かに答えた。
「守りたいモノを守る。どんなモノからも屈せず、何をしてでも」
「……リオンの守りたいモノって?」
「……色々」
目の前の貴女だと告げるには、勇気が足りない。
リオンは視線をセシルに戻し、質問を返した。
「セシルは、どうなんだ?」
「私は――」
微かに、胸が痛む。
「……どうなんだろう、私は何がしたいんだろうね」
「分からない、のか」
「うん……、困ったなぁ」
笑うことしか、出来なくて。
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bkm
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