「国王は、どうした」

「……グレバムの前に倒れた」


 国の頂が、力の前に倒れた。皆は息を飲み、言葉を失う。

 そこでディムロスが、眼を伏せる王子に声を掛けた。


《ウッドロウ、我の声が聞こえるな》

「……ああ、以前は無視をしてしまってすまない」

「ウッドロウさん……?」


 彼の口振りは、まるで以前からソーディアンという存在を知っている様に取れる。

 ディムロスは更に質問をした。


《お前の父は、イクティノスのマスターか》

「その通りだ。イクティノスは我が王家に受け継がれてきた宝剣、その時の王がマスターとなる故に、現王である父・イザークが保有していたが……」


 一度口を閉ざし間を置き、僅かに言葉を詰まらせつつ告げた。


「グレバムに奪われてしまった……」

《やはり、か……》


 グレバムが神の眼だけではなく、ソーディアンまで手したという現実に、場に緊張が走る。


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bkm

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