「フェイト! 気ィ張り過ぎて転ぶなよ!」

「ああ、お前もせいぜい皆に可愛がられてろ!」


 憎まれ口を叩き、二人は笑う。

 船は徐々にスピードを上げ、アクアヴェイルを後にした。


「ファンダリアかー……アルバさんとチェルシーは元気かな?」

《さあな、大方また背伸びでもしているのだろう》


 知らぬ名が出て来た事に、セシルはスタンに問う。


「スタン、チェルシーって?」

「あ、えーっと……飛行竜から脱出して湖に落ちた俺を助けてくれたおじいさんと、そのお孫さんなんだ」

「そ、そうなんだ……」


 性格からは考えられないハードな体験をしている。こんな時は何て言うのが正解なのだろうかと考えている間に、スタンは話を続けた。


「ウッドロウさんも元気かなー」

「……スタン、あのさ、その、ウッドロウさんっていうのは――」


 核心に触れようとした時、船員が声を上げた。


「モンスターが出たぞー!」


 案の定というか、何というか。


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bkm

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