暫くして眼を覚ましたセシルは、甲板で休んでいた。
間もなく出航らしく、船員達は慌ただしい。
「……アクア、ヴェイル」
溜め息が零れ、海を見つめる。嫌な感情が胸を込み上げた。
そこに声が掛かる。
「よう、起きてて大丈夫なのかい?」
「……ん」
現れたジョニーの言葉に頷くと、彼は微笑を浮かべ隣に立った。
「随分、参ってるみたいだな」
「え……?」
「違うのかい?」
「…………」
否定が出来なかった。それは何故と考えるが、一向に答えはでない。
進まない自分。
「俺がとやかく言う事ではないっていうか、お前が言うなって言われるだろうが……あまり抱え込まない方が良いぜ?」
「……確かに、貴方に言われたくはないな」
恐ろしく淡々としている己が居る。淡々としている事が正解なのに、恐ろしくなる自分が居る。
彼女は微笑を浮かべていた。
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bkm
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