中に入りあるドアを開くと、そこには眠ったセシルが居た。
正に死んだように眠っていると言える今の彼女の様子に、リオンの鼓動が一瞬速くなる。
「……僕は、彼女の為なら命を賭けられる」
《坊っちゃん……》
「なのに……何故僕はこんなに無力で、無知なんだろうな……」
その言葉を、セシルの様子を見に来たルーティはドアの向こうで聞いた。
《気になるの?》
「え……?」
《前に彼女が言っていた、“死なせてしまった人”の事》
「……まあ、ちょっとね」
彼女の心には何かが深く突き刺さっている。きっとリオンも気付いてはいるのだろう。
問題は、突き刺さるそれの正体も原因も分からない事。
「……アイツの家庭って、家族なのかしらね」
歩き出したルーティは呟く。
「可哀想なんて思わないけどさ」
《……貴女は幸せ?》
「愚問にもならない質問ね」
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bkm
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