「グレバム……何処に行った!」
忌々しく叫ぶリオンに、セシルは何も言わない。
“全て”を知っていながら、偽り続ける。
「正に捨て駒ってか……益々哀れな奴だな」
ルーティの治癒術を受け立ち上がったジョニーが呟く。
その直後、城が揺れた。
「な、何だ!?」
《この揺れは……飛行竜か!》
ディムロスの言葉に皆、広間の奥から外に出る。
そこで彼等が眼にしたのは、空へ飛び立つ飛行竜。
「ルミナ=ドラゴニス! やはりグレバムだったか……!」
あの飛行竜が囮である可能性もあるが、兵器でもある物を見逃すわけにもいかないだろう。
とにかく今はフェイトの力が必要だと考えている所に、彼はやって来た。
「――! ティベリウス……」
大王だった男の亡骸の前に一度足を止めた後、兵士を連れたフェイトはジョニーの傍に駆け寄る。
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