彼の名を口にした時、ティベリウスの目尻が僅かに引きつる。それは自分を負かした男の名、反応は当然のものだろう。
道化師の口元が僅かに上がる。
「フェイトに真っ正面から挑まず、人質を取って直ぐ様処刑とは……大王とあろう者が随分情けないモンだな。まあ今に始まった事じゃあないか? エレノアを奪って殺したのも……フェイトへの復讐もあったんだろ」
「貴様……戯言を……!」
「戯言結構、なんせ道化なもんで」
これ以上の対論はティベリウスに油を注ぐだけだと分かっていながらも、リオンにもセシルにもジョニーを止める事が出来ない。
それほどに彼の眼は、激情に満ちていた。
「大王に向かっての無礼な物言い、許されんぞ」
「許されなかったらどうなるっていうんだ?」
のらりくらりと言葉を紡ぎ、それは相対者に苛立ちを覚えさせる。
彼は、それも計算の内なのだろう。
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bkm
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