セシルの提案を採用し、ダリルシェイドを出ようと歩き出そうとしたリオンを止めた声があった。

 その声の主はスタン・エルロン。彼は、訝しげな顔をし振り向く少年に向かい自分の手を差し出した。


「何だ、この手は」

「握手、一緒に頑張ろうって」

「……くだらん」


 笑顔のスタンを一蹴し、リオンは冷たい言葉をぶつける。


「僕とお前が同等の立場だと思っているのか? 客員剣士である僕と、囚人であるお前が」

「でも、一緒に戦うんだし……」

「うるさい、この際だからハッキリ言っておいてやる。
 僕はお前の様に、能天気で、図々しくて馴れ馴れしい奴が大嫌いだ。
 お前はただ、僕の命令に従っていればいいんだ」

「ハイハイ流石に言い過ぎだよリオン、スタンが何であろうと今の状況では足並みは揃えるべきだ……分かるね?」

「…………フン」


 セシルの言葉に顔を背け、リオンは歩き出してしまった。




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