当然攻撃はそれだけでは終わらず、離れたリオンと入れ代わる様にセシルが斬り抜けた。
「……チッ」
彼女は舌を打ち、術が解けたティベリウスを見る。
肩から血を流しているが、やはり彼は立っていた。あの状況の中で急所を外し、難を逃れたのだ。
「なかなかだが、余を倒すには足りぬわ」
「小細工は無意味か……」
遠回しな方法ではなく、もっとシンプルな方法が効果はあるだろう。だがそれをするには、彼の剣技をよく知る必要がある。
上級晶術の使用も考えるが、場所が場所なだけに威力は抑えられる上、それを止めようとティベリウスは全力で術者を潰しに来るだろう。
悩むリオンに、シャルティエが告げる。
《坊っちゃん、やはり奴はバティスタ程ではないけど、神の眼の加護を受けてます》
「……まさかとは思っていたが……」
グレバムが己を信用させる為に施したのだろう。そして彼の武人としての能力を計算し、力に飲み込まれ有能な駒が自滅する事は回避している筈。
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bkm
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