彼の自棄にも似た復讐劇を止められるのは、城へ向かうリオン等しか居ない。
「……確かに、あんなのでもシデン家の人間……コネは作っておいた方が、後々役に立つ」
「君は相変わらずだねェ」
「本当の事を言ったまでだ。鎖国状態にあったこの国と交友関係が生まれる事は、セインガルドには大きなメリットだ」
「ま、それもそうだけどね。国際問題は損得で考えるのが常道だし」
フェイトがアクアヴェイルの王になれば、友好な関係を築けるだろう。それが二つの国にとって必ずしも良い方に転がるとは限らないが、変わるキッカケにはなる。
歴史はこうやって動いて行くのかと、セシルは思う。
「ありがとうございます、リオン殿、セシル殿」
「礼ならこの事件が終わった後にしてくれ。陛下を通してくれれば、僕の株が上がる」
「抜け目無いなァ……」
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bkm
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