「私には家族が居る上に、私が不用意に動けばトウケイ領と戦争が起きかねない。そうなれば自然とシデン領も巻き込む事になる……それは避けなければならない。
……それに私はアイツに恨まれても良いのに、アイツは私に前を向けと言いました。そして私はアイツの本意に気付かずに、モリュウ家の一人として責務を果たして来た」
彼の言葉に含まれているのは、気付いてやれなかったという後悔。
リオンはふと、横目で話に聞き入るセシルを見た。
「誰よりもティベリウスを憎み、誰よりも周りを想い、誰よりも国を考えている……。その上で非常に計算高いアイツは、今回の事を気にケリを着けるつもりです」
「……だから、僕達に奴を助けてくれと?」
トウケイ領に到着した直後、黒十字艦隊はトウケイ軍の制圧に入り、リオン等が城へ向かいティベリウスとグレバムを捕らえる手筈。
その際、解放されて間もない艦隊を率いるフェイトの存在は制圧戦に必要不可欠になる。
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