リオンの言葉は至極真っ当であり、同意する様にフェイトは頷く。
「そうですね……アイツもそれは分かっているでしょう」
「ならば何故……」
「……アイツと私は違う、それが全てでしょう」
強い海風に眼を細くし、青い海原を見る。
変わらない空と海。
「確かに私達は彼女を愛し、ティベリウスを憎んでいる。しかし私はモリュウ領の領主で、アイツはシデン家の三男坊……立場がある私と共に居るより、彼一人の方が何かと動き易いでしょう。
それに自分の復讐劇に周りを巻き込まない為に……何も言わず、おどけ、一人で終わらせようとしている」
先程のフェイトの怒りの理由が、今ならよく分かる。親友の思惑を知りながら、止めない筈が無い。
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bkm
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