「あの、すみません……立ち聞きするつもりは……」
「いいっていいって、こんな所で大人気無く口喧嘩する方が悪いんだよ」
俯くスタンにジョニーは笑顔で謝罪を断る。
暫し波と風の音だけが甲板に流れていたが、意を決したのかスタンが質問した。
「あの、さっきの仇討ちとかって……」
「ああ、フェイトの思い違いだよ。アイツああ見えて、頓珍漢な所あるからな」
それで若者達が納得出来ない事を、彼は分かっているだろう。
暫く考え込んだ後道化師は、微笑を浮かべ言った。
「ま、せっかくだから恋愛物語でも語ってやろうかね」
「恋愛……?」
「若者の、しがない物語さ」
彼は語った。
「ある所に三人の若者が居た。一人は文武両道で性格も良い好青年、一人は悪戯が好きで少々問題児の男、そして誰にでも分け隔て無く優しい女性。三人は幼い頃から何時も一緒だった。
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