「分かっているんだろうっ、お前は――」
「もうその話はいいって。大体俺はお前程に出来た人間じゃない、度胸も無い、そんな奴が……仇討ちなんて考えんだろ」
「だがお前は彼女を!」
「買い被り過ぎだぜ、フェイト。俺の評判は知ってるだろ? こんな道楽者に何が出来るって言うんだ」
笑うジョニーに対し、フェイトは複雑な感情を窺わせる怒りの表情。
心配になる雰囲気だが、口を挟めそうにもない。
「……何故お前は、そう……」
「もうガキじゃないんだ……俺とお前じゃ違うんだよ、色々とな」
「くっ……もういい、勝手にしろ!」
人格者として名高い男には似つかわしくない言葉を残し、フェイトは甲板から去って行った。
ジョニーは暫く佇んでいたかと思いきや、不意に声を出す。
「隠れてないで出て来たらどうだ? コソコソするのは男らしくないぜ?」
それはきっと此方に向けられた言葉。
リオン等は静かに姿を現した。
prev next
bkm
[back]