詳しくは聞いていないらしい。仮に聞いていたとしても、きっと状況は変わらなかっただろうが。

 セシルは立ち上がり、俯くリオンにシャルティエを差し出した。


「君の力を信じているから、私は君と行きたいんだ」

「……それとこれとは、話は別だろう」

「そうだね……。でも任務が終わって国に戻ったら、もしかしたらバタバタで君と一緒に居られないかもしれないから……今は少しでも……」

「セシル……」


 任務が終わっても、事が事だけに後処理は大変だろう。彼女に限っては、ドクターストップを告げられる可能性は高い。

 そう考えるなら尚更戦線には出せないが、彼女は恐らく退かない。最悪気づかれない様に着いて来る可能性がある

 彼女には、それが出来る。


「――確かに、お前の力があった方が色々楽だ。だが着いて来るなら、自己責任だからな」

「分かってるよ、リオン」

「……ハァ」


 国に戻ったら絶対に仕事はさせないと、少年は心に決めた。


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bkm

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