濁す事しか出来ない。明確な答えが無い事に、苛立ちすら感じる。
分からない事なんて、無かった筈なのに。
「でも、一緒に居たいのは本当だから」
《うん》
心配してくれる少年に対して、自分は何をしているのだろうか。時折そんな、葛藤に駆られてしまう。
しかしすぐに行き着くのは、必要の無い思考という答え。
「シャルティエは、リオンの事好き?」
《当たり前だよ。正直、ソーディアンマスターの中で一番凄いと思うよ》
「自信たっぷりだね」
《坊っちゃんのソーディアンである事が僕の誇りだからね。それに昔のマスターと比べたらっていうか、比べるのもおこがましいっていうか――》
自棄にでもなったのか、シャルティエはネガティブな言葉を連ねる。
その最中、スタンがリオンを連れて甲板に出て来た。
「セシル! 此方に居たのか」
「うん……どう、したんだい?」
「リオンが何か悩んでるみたいだったから、外の空気でも吸ったらどうかと思って」
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bkm
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