「お前にはもう、無理はさせられない」
「無理なんて、してないよ?」
「なら何故、突然意識を無くした。戦闘中じゃなかったから良かったモノを……」
「それは……でも、私は君を――」
この言葉の先が、彼女には無い。
それに気付かない少年は遮る様にして叫んだ。
「そんなに僕が信用ならないのか!?」
「そんなっ、そんな、事――」
そんな事、なんだろうか。
同行したい理由は分かっている。彼を監視する為、それだけ。それが此処に居る理由。
しかし声にしようとした言葉は、それと違う様な。
《坊っちゃん、落ち着いてっ》
「うるさい! ……! ……くっ……!」
我に返ったリオンはシャルティエをセシルに押し付け、一人船内に戻ってしまった。
残された一人と一本は追わず、ゆっくり腰を降ろす。
「……何の話を、していたんだい?」
《……あの、ジョニーという方の事》
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bkm
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