12

 彼女の言葉に、バティスタは呆れていた。


「ケッ……綺麗事ばかり言う愚図のクセに、俺に意見しやがって……」


 床に倒れ仰向けになった男は、何処か憑きモノが落ちた様に不適な笑みを見せた。


「俺は、神なんて信じねェ……こんな理不尽な世の中を作った神なら特にな。だから、それを信じるお前も同じだ……」


 苦し紛れなどではない、ただ本心を述べているだけ。


「世の中力が全てだ……だから、俺に勝ったお前は、ちょっとだけ見直してやるよ……」

「バティスタ……!」

「……つまり俺は、お前に負けた此処までの男ってわけか……最期までくっだらねェな……」


 そう嘲笑し、彼は眼を閉じた。

 声を殺し、彼女は泣いている。


「セシル、行くぞ」

「あ……ああ……」


 ルーティとマリーにフィリアを任せ、他の面々は奥の牢に向かう。

 その間セシルの脳裏に過るのは、フィリアとバティスタの事だった。


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bkm

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