彼女の言葉に、バティスタは呆れていた。
「ケッ……綺麗事ばかり言う愚図のクセに、俺に意見しやがって……」
床に倒れ仰向けになった男は、何処か憑きモノが落ちた様に不適な笑みを見せた。
「俺は、神なんて信じねェ……こんな理不尽な世の中を作った神なら特にな。だから、それを信じるお前も同じだ……」
苦し紛れなどではない、ただ本心を述べているだけ。
「世の中力が全てだ……だから、俺に勝ったお前は、ちょっとだけ見直してやるよ……」
「バティスタ……!」
「……つまり俺は、お前に負けた此処までの男ってわけか……最期までくっだらねェな……」
そう嘲笑し、彼は眼を閉じた。
声を殺し、彼女は泣いている。
「セシル、行くぞ」
「あ……ああ……」
ルーティとマリーにフィリアを任せ、他の面々は奥の牢に向かう。
その間セシルの脳裏に過るのは、フィリアとバティスタの事だった。
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bkm
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