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 バティスタはそれを斬り防ぐが、間髪入れず正面からフィリアが現れた。


「サンダーブレード!!」


 クレメンテを奮うと同時に雷が発生した後、膝をつく音と共に霧は晴れる。


「ぐっ……なかなか、効いたぜ……?」

「……バティスタ……?」


 膝をつく彼の様子がおかしい。致命傷は与えていない筈だが立ち上がろうせず、無防備な姿を見せている。普段の彼なら立ち上がり不適に笑う筈、神の眼の加護を受けたのなら尚更。


《……こ奴、何の媒介も無しに力を奮っておったのか》

《直接身体に力を叩き込めば確かに存分に奮えるが……、今の奴は、身体が力に着いて行けていないのだろうな》

「――!」


 フィリアが眼を見開き、恐る恐る呼吸の荒い男に近づく。誰も、それを止めなかった。

 沈黙の中、セシルが問う。


「気付いていたんじゃないのか? 力を得たらどうなるか」

「あ……? 何言ってんのか分かんねェなァ……」

「さっき“運が良かったら”言っていただろう。アレは寝首を掻くタイミングではなく、この戦闘後生きていられたらって意味じゃないのか?」


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bkm

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