「――若っ」
「ん? あー……」
目の前に現れた一行を見てバツの悪そうな顔をするのは、やはりジョニー。
足元には兵士が倒れている。
「若、何故お一人でっ」
「んー、俺はこの城を熟知してるし、一人の方が動き易いし、あと気紛れ?」
敵の懐に居るというのに、この男は笑顔を絶やさない。
「いや参ったな……たまにはリアーナに出来る男だってトコ見せようと思ったのに」
「そんな悠長な……」
「分かってるよ、俺もそっちと同行するさ。旅は道連れ……はちょっと違うか?」
何はともあれ彼も同行する事になりスタン等が笑顔になる傍ら、リオンは独り言の様にセシルに声を掛けた。
「やはり、アイツは……」
「そうだね、正に道化だ」
いくら熟知しているとはいえ、敵の手に落ちた城を進むのは容易な事では無い。この道化師は、何処まで、何を偽っているのだろう。
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bkm
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