小舟が着いたのは、モリュウ城の裏手にある石垣。先刻の秘密基地同様、一見しただけでは特に何も無い様に見える。
「少し待ってくださいね……」
臣下は、何やら石垣を弄り始めた。
暫くすると、石垣に見せた回転扉が開く。
「おー……何か、こういうの憧れるなー」
「男心擽るってヤツ?」
スタンの呟きにルーティが言葉を返した後に、彼等は城内へと侵入する。
城の中にも水が流れており、平和であれば水流音が癒しを与えるのだろう。
「気をつけてください、トウケイ軍が巡回している筈――」
廊下に出た所で皆は足を止めた。視線の先には、倒れているトウケイ軍の兵士。
セシルと臣下が彼等の様子を確かめる。
「気を失ってるだけだけど、一撃か……」
視線を上げると、廊下の端に落ちている刀が眼に入った。
それを拾い上げ確かめれば、トウケイの家紋が掘ってある事に気づく。
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