己の不甲斐なさを嘆く臣下に、今まで口を閉ざしていたスタンが言った。
「俺も、ジョニーさんは友達を見捨てる様な人じゃないと思う」
「……どうしてだい? まだ合って殆ど時間は経っていないのに」
彼が何と答えるのか、セシルはそれに興味を抱く。
人に何かしらの影響を与える、彼の言葉。
「ジョニーさんの歌を聞いた時さ、凄い心が込もってるって思ったんだ。それであんな歌が歌える人が、友達を見捨てられるかなって……」
「……なるほど」
人は己が生み出した物に何かしらの“想い”を込める。
ジョニーの歌も、例外では無いという事か。
「何か考えがあると思うんだ、誰にも言えないだけでさ」
「考え……、――!」
それが理解出来ればと思いながら主を信じ続ける臣下は呟き、そして言葉を詰まらせる。
それに気付いたセシルが声を掛けた。
「どうかしましたか?」
「い、いえ……」
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