12

 己の不甲斐なさを嘆く臣下に、今まで口を閉ざしていたスタンが言った。


「俺も、ジョニーさんは友達を見捨てる様な人じゃないと思う」

「……どうしてだい? まだ合って殆ど時間は経っていないのに」


 彼が何と答えるのか、セシルはそれに興味を抱く。

 人に何かしらの影響を与える、彼の言葉。


「ジョニーさんの歌を聞いた時さ、凄い心が込もってるって思ったんだ。それであんな歌が歌える人が、友達を見捨てられるかなって……」

「……なるほど」


 人は己が生み出した物に何かしらの“想い”を込める。

 ジョニーの歌も、例外では無いという事か。


「何か考えがあると思うんだ、誰にも言えないだけでさ」

「考え……、――!」


 それが理解出来ればと思いながら主を信じ続ける臣下は呟き、そして言葉を詰まらせる。

 それに気付いたセシルが声を掛けた。


「どうかしましたか?」

「い、いえ……」


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bkm

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