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 呆然とする臣下を置いて立ち上がり、彼は部屋から出て行った。

 残された皆が沈黙を続けていると、顔色の悪い臣下が沈黙に耐えきれなくなったのか独り言の様に呟く。


「昔の若は、あの様な方ではなかったのに……」

「もしかして、昔は神童だったとか?」


 ルーティの質問に彼は頷き、フェイトを助けるという意思のある彼等に、まるで彼を弁護するかの様に語り始めた。


「若は、ご兄弟の中で一番次代領主に相応しいと言われていました。しかしそれを鼻に掛ける事はせず、誰が相手でも平等に接し、それでいて悪戯が好きな、愛される方だったんです」

「それが、どうして……」


 俯くフィリアと同じ事を思っているらしく、臣下は肩を落とす。

 それは決して、“若”本人だけに絶望しているわけではない。


「若は決して、如何なる状況に置いても友を見捨てる事はしない方です……。だが私は、若の考えを理解する事が出来ない……!」


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bkm

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