「ああ、その剣はこの国の宝剣。昔何者かに盗まれて、当時大王だった親父がティベリウスに責任を問われる形で大王の座から降ろされたのさ」
「そして、ティベリウスが大王にか……」
「そ、奴も頭は使えたってわけだ」
自分の父親の事だというのに、まるで他人事の様に彼は話す。その態度に、違和感さえ持たせない。
「フェイトの奴も大変だな、領主なんて面倒な立場になったモンだから」
「若、その様な言い方は……」
「べつにいいだろ、俺には関係無い話だ。政治絡みは面倒過ぎて俺の性に合わん」
「なっ……若はフェイト様をお助けする為に国を出たのでしょう!?」
臣下の懇願にも似た問いに、道化の男は不適な笑みを浮かべ言い切った。
「処刑なんておっかねェ事に首を突っ込めるかよ。
それに武人であるフェイトがティベリウスに屈したんだ、俺にはどうにも出来ない。アイツも領主としてハラは決めてるだろ」
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bkm
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