「任務の成功に対する報酬だ。これでも私は企業のトップに立つ身、他所のお嬢さんをタダで働かせる程世間知らずではないとも」
「も、もう一声」
「では……25万ならどうかね」
あっさりと値を上げれば、ルーティは暫し考え込んだ後に大きく頷いた。
「分かったわ、商談成立ね」
「引き受けてくれる事に感謝するよ、お嬢さん。
スタン君も、仕官の話は私から陛下に通しておこう」
「あ、ありがとうございます!」
夢への一歩に青年は笑顔で深々と頭を下げる。
満足そうにヒューゴは笑った。
「では諸君、良い報告が聞ける事を祈っている」
不適な笑みを残し彼は広間を出て行った。
他の者達もリオンを先頭に出て行き、最後にセシルが退室しようとした時、女性の声が彼女の足を止める。
「――何だい、マリアン」
「ごめんなさい、呼び止めてしまって」
清潔なエプロンドレスを着こなすメイド長は、静かに呼び止めた人に近寄った。
prev next
bkm
[back]