二人は皆と分かれ、身を隠しつつ港へ向かう。


「……奴が……」

「ティベリウス……」


 港に放置されている荷の影に隠れた二人は、集まった人々を見下ろす初老の男を見る。

 見た目は確かに初老だが、纏う雰囲気は武人のモノ。

 彼は高々と宣言した。


「モリュウの民よ! この大王ティベリウス、このアクアヴェイルを平定させた暁には、セインガルドへと進軍する!」


 人々達がどよめく宣言に、客員剣士達は息を飲んだ。


「世界を牛耳ろうと目論む奴等に、我等が力を見せつけてやるのだ!」


 仮にセインガルドを落としたら、それこそ世界を牛耳らんと更に駒を進めるだろう。野望を語る彼の自信はかなりのモノだ。

 アクアヴェイル連合公国大王ティベリウス。シデンで聞いた話では、彼が大王になった直後に鎖国体制が敷かれたという。

 そこにグレバムが大きな力を見せ、後ろについたとしたら。


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bkm

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