スタンの問いにセシルが答えた所で、皆は街の路地裏に出た。
建物の作り等はシデンと変わらないが、大きな堀があり、その向こうに城が聳え立つ。街の雰囲気は暗く、人は疎らで活気は全く無い。
「ゴーストタウンね……」
「領主が捕らえられたとあっては仕方ありませんわ……」
兵士の姿が無い所を見ると、ティベリウスは完全にこの地を掌握したと反対しているのだろう。
しかしルーティの言う通りゴーストタウンと呼ぶに相応しい街に似つかわしくない、歌声が聞こえた。
「あ、人が集まってる」
駆け出すスタンに着いて行くと、確かに人が集まっていた。その中心には、弦楽器を鳴らし歌う道化姿の男が居る。
「うわー……上手だなー」
《あの人は……》
賞賛するスタンの隣で、シャルティエが小さく呟く。
それに気づかないリオンはふと思い当たる事があり近付こうとした時、兵士が人集りに駆け寄り叫んだ。
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