10

「ああでも、私も君に心配掛けてるから説得力無いか……」


 先刻のスタンとルーティのやり取りを思い出し、自嘲気味に笑う。

 リオンにはそれが、非常に無理をしている様に見えた。


「空は……あんまり見えないか」

「本当に、空が好きだな」

「うん……」


 好き、ではない事は知っている。

 執着、ともまた違う様な。


「やっぱり、ダリルシェイドから見た空が一番かな」

「何故だ?」

「んー……分からないかな」


 しかしダリルシェイドからの空には何故か、思う所がある。

 その理由は、やはり分からないままだが。


「大事な人の為に命を賭けられるのは、凄い事だよね」

「ああ……そうだな」


 少年も同じ。

 しかし彼女は違う。


「人間の、強さだね」


 私は“人間”なのだろうか。


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bkm

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