身を隠せる林の中で、一行は身と心を落ち着かせる。
「ハァ……」
「セシル」
木に寄り掛かり深く息をつくセシルに、リオンが声を掛けた。
地面を見ていた顔を上げ、彼女は少年を視界に入れる。
「何だい……?」
「……身体は、大丈夫か?」
「大丈夫、皆がサポートしてくれるおかげでね」
微笑みながら答えると、彼は隣に腰を降ろした。
「そういえばシャルティエ、口数少ないね」
《えっ、い、いやぁ、僕でも空気は読むから……》
「へぇ、意外」
《うぅ……》
彼女と同じ事をリオンは思っていた。
この国に入ってから、シャルティエの様子が普段と違う。訊こうにも、タイミングと勇気に恵まれなかった。
「あまりリオンに心配掛けちゃ駄目だろう?」
「え……?」
見透かされていた事を知った少年は俯き、よそよそしい愛剣に手を置く。
ただひたすら、自分が情けないと思いながら。
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bkm
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